MEDIA 転職支援メディア
2024.05.14
内定から入社まで
転職の内定承諾の伝え方と入社までの流れ・退職交渉のポイント【例文あり】
企業からの「内定」はうれしいものですね。ただ、初めての転職活動では内定をもらった後にも様々な疑問が思い浮かぶと思います。「企業からの『内定通知書』はどの項目をしっかり読んだ方がいいの?」「内定を承諾する前に確認をしておいた方がいいことは?」「内定を承諾したいけど、現職に退職日を申し入れ、退職日・入社日を調整するのが不安」「退職までに有給は消化できるだろうか」など、疑問・不安が出てくる方も多いのではないでしょうか。今回は、転職で企業に内定をもらってから入社までの一連の流れを説明します。
目次
内定から入社までの流れ
内定通知から入社までの流れは上の図のようになります。
内定通知をされた場合、一般的には内定には有効期限があります。1週間程度で入社承諾の可否の意思表明をしなければ、内定が無効になってしまう可能性もあるので注意しましょう。 新卒の時とは違い、中途採用はタイムリーな入社が求められます。採用企業側もあなたに辞退された場合は別の候補者へ内定を出す動きをとらなければならず、回答期限は短めです。 複数社を比較して入社したいときには、この内定の回答期限も踏まえて、同時期に内定を得るように活動することもポイントです。
内定承諾の意思決定は、退職の申し出の前で大丈夫です。内定通知書には入社日が記載されており、退職日が決まってからではないと回答してはいけないのでは?と思われるかもしれませんが、承諾の意思表示をしてから退職日を決定するのが一般的な流れです。
入社日は応相談と補足されている場合も多く、心配であればどのくらいまで入社を待ってもらえるのか確認しましょう。確認をする際は、もちろんなるべく企業の希望入社日を目指して退職日を調整する、という旨も併せて伝えると好印象です。
承諾の意思を示した後は、速やかに現職の上司に退職を申し出ます。
退職の申し出は、内定後、非常に苦労をする方も多いので、こちらの記事でも進め方をご紹介させていただきます。
内定承諾前に雇用条件を確認する
内定をもらったら、まずは、内定に対するお礼と書面を確認する旨を伝えましょう。
雇用条件を書面で確認する
電話や面談で口頭で「内定」と伝えられる場合があります。
労働基準法※では、企業が採用の際、労働者に対して明示しなければならない事項が定められています。その中でも、書面での交付が義務付けられている事項もあるため、口頭で「内定」と言われた場合でもすぐには承諾せず、必ず書面を確認した上で承諾しましょう。口頭で「内定」と言われた場合も法的拘束力は発生するので、企業は基本的に、経歴詐称が発覚するなどの条件に当てはまらなければ、内定を取り消すことはできません。書面の提示がない場合は、書面の発行を担当者に依頼します。
書面が交付されたら、入社日・労働契約の期間・従事すべき業務・賃金・就業場所・始業時刻終業時刻・退職に関する事項(定年)を必ず確認しましょう。
※参考:厚生労働省HP
入社をするか悩んだら、転職の目的を思い出す
転職をすると、これまでとは大きく異なる環境や働き方になる場合も多く、実際に転職を決断するとなると、不安を感じる方も多いと思います。
入社をするかどうか悩んだ場合は、最初に転職しようと思った理由に立ち返り、内定先の企業に入社することで転職の目的が叶うか、今一度考えてみることもおすすめです。
転職の目的が叶うか再度考えることは、内定後に企業にどのような質問をするか考える上でも重要です。
多くの企業は、内定後にも質問を受け付けています。入社承諾の決断とは関係のない質問をするよりも、どのような質問にどのような回答があれば、自分が気持ちよく入社を決断できるかをイメージした上で質問をする方が、有意義な回答を得られます。
また、企業によっては、条件面談や会社見学、一緒に働く社員さんとの面談などに対応してくれる企業もあります。
どのような立場の人に何を聞いたら前向きに入社を決められそうか、しっかり考えた上で意図を伝え、依頼するのがベターです。
内定を一度承諾すると、やっぱり辞退、ということはできません。真剣に考えた上で入社承諾の連絡をしましょう。
内定承諾には回答期限がある
内定承諾は、企業から回答期限が伝えられることがほとんどです。
書面に「この内定の有効期限は発効日から7日以内です」というような期限の記載がある場合もあるので、注意して確認しましょう。
特に回答期限の連絡がない場合は、「内定は非常にうれしく、家族にも相談した上で回答したいが、いつまでにお返事をすればよいでしょうか」というような形で期限を確認しましょう。
企業が内定の回答期限を設ける理由としては、企業にも採用計画があり、もしあなたが辞退した場合は別の候補者に内定を出そうと考えている、などの事情があります。
企業の事情も様々ですが、状況によっては3日で回答してほしいと言われる場合もありますし、2週間、1か月と待つこともできるということもあります。
もし、回答期限を延ばしたい場合は、延ばしたい理由を伝え、交渉しましょう。
もちろん、交渉をしたとしても、企業の採用の事情によっては、延ばすことができず、期限が切れて内定が無効になることもありえます。
あとから、やっぱりあの時に入社すればよかった、ということのないよう、応募先の検討や併願先も含めたスケジューリングを意識しましょう。選考のプロセスの中でも「もしこの会社に入社するとしたら」と真剣に考えながら転職活動をするなど、見通しをもって転職活動をする必要があります。
転職するか、現職に残るかは、内定をもらってから決めることができますが、後悔のない決断をするためには、内定後に回答期限を伝えられてから焦るのではなく、回答期限があるということを念頭に置いて活動することがおすすめです。
退職準備
内定承諾後は現職の退職準備を進めます。
すでに離職をしている方はこの章は読み飛ばしていただいてかまいません。
承諾をしたら、退職日を調整する
内定を承諾したら、速やかに現職に退職を申し出る準備をしましょう。
現職を嫌いになって辞めるわけではない場合や上司との関係上、申し出にくく、気が重いかもしれません。が、自分の中で退職が決まっている以上、速やかに申し出ることが、現職にとっても迷惑がかかりません。
申し出が遅くなってしまうと、その分、引継ぎに使える時間が少なくなってしまい、迷惑をかけてしまうかもしれません。
退職の申し出をするにあたっては、退職までのスケジュールをまずは自分の中でイメージしましょう。
有給が何日残っているのかを確認し、最終出社日がいつになるかを確認します。
最終出社日から逆算して、担当しているこの業務はAさん、あの業務はBさんなど、誰に引き継ぎを行うかのイメージをしながら、最終出社日までの段取りを考えます。
退職の申し出を行う
最終出社日までのイメージが固まったら、退職の申し出を行います。一般的には、直属の上長に時間をもらい、申し出ます。
その際、「退職するかどうかの相談」ではなく、「退職することはすでに自分の中で決まっており、退職日の調整と引継ぎの相談」という形で切り出しましょう。
そして、事前に準備した退職日と最終出社日の希望、引継ぎのイメージを伝えます。
退職日確定までの流れとしては、まずは直属の上長に申し出を行い、上長からさらにその上の上長や人事に連絡が行き、退職が受け入れられる場合や、課長、部長、人事などそれぞれの役職者と面談をしなければいけない場合もあります。
もし周りにすでに退職が決まった同僚がいる場合は、事前に確認してもよいかもしれません。
流れがわからない場合も、直属の上司に退職を申し出た際に、退職日は誰の承認を得られれば確定するか必ず確認しましょう。
上司が「上に話しておく」と言ったきり話が進まない、ということもあるので、流れを先に確認し、適宜、自分の退職は承認されそうかを確認していく必要もあります。
退職交渉は粘り強く、心が揺れる場合も慎重に
退職交渉が難航するのは、強い引き留めがある場合です。
上司があなたを引き留める理由としては、もちろんあなたが優秀で期待していた人材であるからという側面もありますし、単純に人手不足で業務が回らなくなってしまう懸念などがあると思います。会社によっては上司毎にマネジメントする組織の退職率を管理しており、退職メンバーが出ると上司の人事評価も下がる、といった上司側の事情もあるかもしれません。
企業によっては退職の申し出をする際、給与UPや希望の部署への異動などを持ちかける場合もあります。
ただ、引き留められて現職に残る決断をする場合は、「一度退職の申し出をしてきたメンバー」となります。上司から気を遣われ居心地が悪くなる、出世がしにくくなる、退職の申し出をしたときだけ給与がUPし、その後上がりにくくなる、といったリスクもあります。
入社を決めていた転職先についても、基本的に承諾後の辞退はできません。辞退した場合、あなたが入社してくることを前提に組成していたプロジェクトなどに損害が出ると、責任を問われる可能性もあります。 人材業界に長年身を置いていると、「やっぱり現職に残る」と決断をした方が、数か月後に再度転職活動をしている、というのを実はよく見かけます。「やっぱりあの時の内定先に入社したい」と思っても、そのポジションはもう他の方が入社して埋まっている、ということも。 引き留められて心が揺らぐ場合も、慎重に判断しましょう。
退職交渉で上司から引き留めがある場合、基本的な進め方としては、「退職の意思表示」と「退職までのスケジュール」を伝え、翌日「一晩考えましたが、気持ちは変わりません」と伝える、ということの繰り返しです。 やっとの思いで退職の申し出をしたとしても、上司から「もう一度よく考えてみて」と言われることもあります。
精神的にも疲れてしまうと思いますが、根気よく意思表示を続けましょう。
交渉の中で、転職先について聞かれることもありますが、退職交渉の段階では、社名までは伝えないことがベターです。
内定先を伝えると、その会社のどこがよいのか、というような話をされるなど、「退職日の調整」からどんどん論点が離れ、交渉がさらに難航してしまうためです。
退職交渉が難航する場合
そして、退職交渉が難航する際には、「退職の申し出をした」という記録を客観的に残すことも大切です。 退職交渉の過程の中で、口頭で伝えた退職の意思とスケジュールをメールでも上司に送り、記録を残しましょう。
退職の申し出については、就業規則で1か月~3か月前と規定されていることが多いですが、法律上は申し出から2週間で退職することが可能です。
法的拘束力は就業規則よりも法律の方が優先され、退職の申し出をしていれば使用者(会社)の許可がなくても労働者は2週間後に退職する権利が得られます。
交渉が難航し円満な退職を諦める際や、上司と話がつかず人事に相談をする際にも、いつの時点で退職の申し出がされたか、どのような内容を伝えているのか、証拠を残しておくことは有効です。
就業規則では、引継ぎや後任者の採用などの事情を踏まえて、法律よりも長めの期間を設定している場合が多く、円満退社を目指すのであれば、就業規則も確認しておきましょう。 とはいえ、しっかりと責任をもって引継ぎをすれば、例えば就業規則では3か月前の申し出と規定されているが、1か月で円満退職ができた、という方もいらっしゃいます。
それでもなかなか退職日が確定しない場合は、会社の人事部に相談すると、間に入ってくれる場合もあります。 人事は立場上、法律で守られた労働者の権利についての知識があり、会社が法律を遵守するような働きかけの役割も担っています。 上司と1対1で話が進まない場合は人事部にも相談しましょう。
また、厚生労働省の「総合労働相談コーナー」も各都道府県に設置されており、労働関連のトラブルを無料で相談することが可能です。
円満退職が難しいと判断した場合、最後の手段としては、「内容証明郵便」で退職届を送付するという手段があります。 客観的に退職の申し出を行ったという記録が残り、2週間後に退職する権利を得られます。
退職の準備を進める
無事に退職日が確定したら、転職先の企業に、「〇月〇日での退職が確定しました、〇月〇日の入社でお願いします」と入社日の連絡をしましょう。
退職が決まると、引継ぎをしながら、人事から退職関連の書類の提出を求められたり、返却物のリストのチェックをしたり、慣れない対応で慌ただしくなることも。 その一方で、次の会社の入社に向けて、入社書類の提出や健康診断を受ける必要なども出てきます。 提出書類などで用意すべきものは早めに現職の企業、転職先の企業に確認し、余裕をもって対応ができるよう、スケジュールを立てましょう。
雇用契約・入社手続きを行う
内定時の労働条件通知書の交付は企業に義務付けられていますが、実はそのあとのプロセスは企業によって様々です。
労働条件通知書を受け取った後、入社承諾の著名と返送を求める企業もあれば、承諾の意思はメール・電話での確認のみという企業もあります。
そして雇用契約書も法律上に決まりはなく、内定時の労働条件通知書の合意をもって雇用契約が締結したとみなす企業もあれば、別途雇用契約書が発行され、内定承諾後や入社日に契約を交わす場合もあります。
雇用契約書を別途締結する場合も、内定時に提示された労働条件通知書との相違がないかよく確認し、雇用契約を締結しましょう。
また、就業規則と個別に結んだ雇用契約の内容が異なる、などのトラブルがあった際は、「法律 > 労働協約 > 就業規則 > 雇用契約」の順に優先されることも覚えておくと役に立つかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
転職活動のゴールは内定ではなく、内定後、転職先で転職の目的が叶い、希望する仕事や環境を得られることです。
また、転職活動をして様々な企業での可能性を検討したあとに、現職に残って頑張る、という決断をすることもひとつのゴールだと思います。
転職活動の準備から始まり、書類の作成、企業への応募、複数回の選考を経てようやく「内定」となり、うれしい気持ちやほっとする気持ちもあると思いますが、最後までしっかり納得ができる決断を慎重に行いましょう。
MUSUBUでは、内定時に「こんな質問企業にしてもいいのかな?」といった相談や、退職交渉で行き詰まった時の上司とのコミュニケーション方法など、内定から入社までの不安もあなたに合わせてしっかりサポートします。
少しでも不安があるときは、知識や事例をもとにしたアドバイスも可能ですので、まずはキャリアアドバイザーにご相談ください!