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2024.09.06
求人選びを始める
自分の市場価値って?測り方・上げ方を知ってより良い転職をしよう
転職サービスの広告などで見かける「市場価値」という言葉。
自分の市場価値はどのくらいなのだろうか、市場価値はあるのだろうか、と考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、「市場価値」という言葉自体が何を指しているのかピンと来ないまま、市場価値があるか不安……と感じている方も多いのではないでしょうか。今回は、転職活動における「市場価値」について、その考え方や味方につける方法をご紹介します。
目次
市場価値とは、需要と供給で決まる
市場価値とは何か、まず前提として、「市場価値」とは何を表すかを振り返ってみましょう。
「モノ」の市場価値
市場価値は、一般的に「需要」と「供給」で決まります。
みなさんがスーパーで目にするお野菜やフルーツも、年によって全然値段が違うことがありますよね。気候によって収穫量(=供給)が少なくなると、もともとの値段で欲しいと考えていた消費者(=需要)にすべて行き渡らなくなるので、「高い料金を払ってでも買いたい!」という消費者に買ってもらえるように、値段が上がる仕組みになっています。
転職活動における市場価値
転職活動においての「供給」は求職者、つまりあなたのライバルの数です。そして、「需要」は求人の数です。「需要」である求人の数は、常に変化し続けています。
社会全体で見た場合、景気が上を向いていると求人の数は増えていきます。しかし、リーマンショックや新型コロナウイルス感染症のような先の見えない事象が起きれば、求人の数は一気に減ります。
企業単位で見た場合、事業の状況や欠員など、その企業のタイミングで求人募集を開始します。逆に、「良い候補者が進んでいるので一旦募集を停止しよう」「20代未経験が採用できたからもう1人は30代の経験者を採用しよう。だから未経験の求人は募集を停止しよう」と求人募集をストップするのも企業のタイミング次第です。
求人の数、求職者の数は常に変化し続けるため、自分の「転職市場における市場価値」も常に変化し続けるものであると理解しましょう。
3つの観点から見る、転職活動における市場価値の測り方
「自分の転職市場での市場価値は?」という問いかけは何を指しているのでしょうか。
一番お手軽に転職市場での市場価値を測る方法は、転職サイトに登録し、「あなたに応募してほしい!」「あなたと面接したい!」というスカウトがどのくらい届くか、また、どのような会社から届くか確認することです。
ただし、スカウトが届いたからといって本当に受かるかはわからないですし、あなたの希望に合うかどうかもわかりません。
そこで、ここでは「応募できる求人の量」「内定の出やすさ」「年収が上がるかどうか」という3つの観点で、市場価値を測る方法をご紹介します。
1.応募できる求人はどれくらいあるか?
まず、「需要」である応募できる求人の量がどのくらいあるかどうかは、比較的簡単に調べることができると思います。
求人票には「必須スキル」「歓迎スキル」「求める人物像」などの記載があり、最低ライン「必須スキル」を満たしていれば、応募することができます。また、「歓迎スキル」「求める人物像」が自分と重なる部分が多い求人は、合格するイメージがわき、応募しやすいのではないでしょうか。転職サイトなどで求人を見ることで、自分が応募できる求人の量を把握することができます。
もちろん、この「求人の量」は「需要」のみの話なので、求人の量だけ見ても自分の転職市場における市場価値が完全にわかるわけではありません。
ただ、「求人を見る」だけであれば一番簡単にできるアクションです。需要を簡単に知っておきたい場合は、自分が応募できる求人はどのくらいあるのか調べておくのも良いかもしれません。
また、まだ転職活動を考えていない場合は、「歓迎スキル」「求める人物像」に多く記載されている内容を見て、今の仕事でそのスキルや人物像を意識した取り組みをしてみるのもおすすめです。実際に転職活動を始めたとき、自己PRとしてアピールできるポイントになります。
2.内定は出るのか?
次に気になることは「どのような会社から内定が出るのだろうか」「何社くらいから内定がもらえるのだろうか」ということではないでしょうか。
正直にお伝えすると、内定が出るかどうかは実際に転職活動をしてみないとわかりません。特に、採用人数が「1人」という求人の場合は、タイミングやライバルの状況によって大きく変わるため、応募してみないとわからないことも多いのです。
転職活動をする方の中には、実際に内定をもらっても「現職に残る」という判断をする方もいらっしゃいます。転職活動を続ける中で、改めて現職の働きやすさや評価されやすいスキル・実績がわかり、今まで以上に現職で頑張る気持ちになるようです。
現職に残るなり転職するなり、自分にどんな選択肢があるのか知るためにも、一度転職活動をしてみるのは手かもしれません。
たとえば、採用人数「1人」とは反対に、一定の採用基準を満たしていれば「年間50名」採用する、という企業もあります。転職エージェントによっては、「受かりやすい求人」を質問すれば、自分と似た経歴の人が内定をもらった求人を教えてもらうことも可能です。ただし、一定の採用基準といっても、面接の内容や企業の採用充足状況にも左右されるため、絶対に受かると約束できないことは理解しておきましょう。 自分が内定をもらえそうな求人がどれくらいあるかを知っておくことは、今の自分の市場価値を測るひとつの方法になります。
3.転職で年収が上がるか?
「転職市場の市場価値」と言われたとき、頭をよぎるのは「自分の今の年収は適切なのだろうか?」という疑問ではないでしょうか。
労働市場では、学校でいう偏差値のように、あなたのスキルやあなたの価値を測るひとつの指標はありません。仮に同じ能力であっても、利益率が高く人件費を確保しやすい業界にいれば年収は高く、利益率が低く、人件費も削らなければいけない業界にいれば年収が低くなることもあります。
また、会社の考え方や事業のフェーズによって異なることもあります。たとえば、利益を賞与として従業員に還元したい!という企業もあれば、今は利益を事業の投資にまわし、将来の利益をさらに伸ばしたい!というタイミングの企業もあります。同じような業界で、同じような成果を出す人材でも、年収に差があることは考えられます。
ただ、一般的には転職する方の多くは現年収前後で転職をしています※1。転職エージェントとして転職支援をする際にも、現年収前後で転職をする方が多くいらっしゃいます。採用をする企業側も、選考を通してあなたの経歴や経験などを聞いた上で提示年収を判断しますが、現職での「人事評価」「査定」のように、日々のあなたの頑張りや取り組みを見た上で判断できるわけではありません。入社後の期待を給与テーブルと照らし合わせたとき、現年収と大きな差がなければ、内定時に提示される年収は現年収前後であることがほとんどです。
転職で年収が上がるパターンは、もともと同じ業界・同じ職種・同じ経験年数の方と比較しても明らかに給与が低く、ご本人にも非がない場合がひとつ。そしてもうひとつは、転職先が、現年収よりも自社内の給与テーブルを優先する企業だった場合です。給与テーブルが決まっていて、その通りに提示される企業では、現年収より大幅にUPした提示を受けることもあります。ただし、すべての転職者の中でもあまり多い事例ではありません。また、あまりにも年収が高いと、「その分がんばって成果を出さなければ」というプレッシャーも大きくなるかもしれません。
「今の年収は絶対に適正ではないと思う!」「年収UPしない限り転職はしたくない!」という場合は、一度転職エージェントに客観的な意見を聞いてみることをおすすめします。
転職エージェントであればあなたと似た経歴の転職希望者とも多くの面談をしているため、今の年収が不当に低いかどうかについて見立てをお伝えすることは可能です。
また、「年収UPしない限りは転職しない」「年収以外は現職に満足している」という方は、たとえば「前年度より年収が下がっているので戻したい」など具体的な理由や「年収●●万円であれば入社したい」と明確な希望を伝えて転職活動をするのもやり方のひとつです。
そして、内定時の提示年収だけでなく、入社後に上がる可能性があるかどうかもしっかり確認した上で判断しましょう。年収が上がりやすい業界の場合、20代のうちに転職すれば、40代、50代で差がつくかもしれません。
年収の上り幅は、企業に「上がりますか?」と聞いても明確には答えにくい質問です。入社後の頑張りや今後の会社の成長に左右されるところもあるからです。企業へ質問したい場合は、先輩の年収例や年代ごとの平均年収などの情報を聞いて判断しましょう。 今の年収が適正なのか、今後上がる可能性があるのか知ることで、自分の市場価値を測ることも可能です。
※1参考:厚生労働省
転職活動では、戦う市場は選べる
「転職市場」というと、ひとつの「市場」があり、その中で自分はどの位置にいるのか?というイメージを持つかもしれませんが、実は「市場」は選ぶことができます。
市場を選ぶ:求人(需要)があるか?
転職活動では、まず「どこで戦うか」を選びましょう。
たとえば、アパレルの販売経験者が法人営業の求人に応募する場合、
・求人(需要):多い
・ライバル(供給):多くて強い
かもしれません。
法人営業という「転職市場」を見ると求人数は多いですが、その求人を希望するライバルも多くいる可能性があります。個人営業として成果を上げてきた人や、法人営業として経験があるが業界を変えたいという人など、希望の求人に近い経験を持ったライバルが多い可能性もあります。つまり、アパレル販売経験者が法人営業の求人に応募する際は、厳しい戦いになることが予想されます。
一方で、アパレルの販売経験者が個人営業の求人に応募する場合、
・求人(需要):多い
・ライバル(供給):多いが、自分とライバルのスキルに大きな差がない
ため、内定がもらいやすいかもしれません。ライバルと自分に大きなスキルの違いがなければ、十分合格できる可能性があります。
ライバルの人数やスキルの高さは求人の魅力度によっても変わります。その求人の勤務地が都心部ではなく通いにくい、土日休みではない、残業が多い、など何かしら懸念に思われるポイントがある場合、応募されにくく、ライバルが少なくなる可能性もあります。ライバルにとっての懸念点が、あなたにとっては気にならない内容だった場合は、穴場求人といえるかもしれません。
ライバルの動きも意識しながら、どこの市場で戦うかを選ぶことも、転職活動の戦略のひとつです。
武器を選ぶ:ライバルと比較したときに、自分のスキル(供給)で勝てるか?
転職活動をするにあたって、「武器」は何にするかを選ぶことも、転職活動の戦略を決める上で大切な要素です。
たとえば、「スマートフォン販売」の経験を持つ人材でも、「店長として店舗運営やアルバイトスタッフのマネジメント経験」を武器にするのか、「老若男女に合わせたコミュニケーションとプランの提案力で販売実績を積み上げてきた経験」を武器にするのかで、転職活動の方向性はまったく異なります。 「店長経験」を武器にしていきたいのであれば、「店舗系企業」で「マネジメント力」を求める求人に応募します。「飲食」「アパレル」「小売店」「スポーツジム」などの求人があるかもしれません。ライバルとは、「正社員・アルバイトの比率」「マネジメントや育成人数」「1店舗あたりの従業員数」などで違いが出てくると思います。
応募先とのマッチ度が違う可能性もあるので、そのあたりも意識して自己PRの作成や面接の準備を進めましょう。
一方で「販売実績」を武器にしていきたいのであれば、「営業力」「ヒアリングスキル」「プレゼンスキル」などを求める求人に応募します。「個人営業」や「法人営業」の求人になるのではないでしょうか。ライバルとは、「取り扱った製品や商品単価」「お客様の属性」「提案すべき内容・求められる企画力」などのマッチ度が違いになるのではないでしょうか。
どこがライバルよりもアピールできるポイントになるかを意識しながら自己PRや面接の準備を進めると、自分の武器が転職市場で評価されるイメージがわくかもしれません。
市場価値を上げる3つのポイント
転職市場は日々変わり、市場価値も変わっていくものですが、もちろん現職で頑張りながら市場価値を上げることは可能です。
1.ニーズの高い業界・仕事を知る
募集している求人が常にあり、ニーズも高いスキルがあれば転職もしやすいです。
たとえば、求人数の多い法人営業の中でも
・大手企業を数社担当し、深耕営業をする求人
・多くの中小企業を担当し、担当企業の中から戦略的に効率よく売上を上げる求人
・新規開拓をする求人
など同じ職種の中でも求められるスキルには違いがあります。
まずは、今の仕事で磨けるスキルが求人としてニーズがありそうかを確認しましょう。ニーズがあるかどうかを把握した上で、今の仕事で成果を残せるよう努力すると、転職活動の際にその成果が企業から高く評価され、内定をもらいやすくなる可能性があります。
一方で、努力をしても求人のニーズが少なければ、転職では活かしきれないかもしれません。たとえば、同じ業界の中でしか使えない知識を努力して身に付けても、他の業界に転職するときには評価されない可能性もあります。
先に転職市場を知っておくことで、身に付けるべきスキルが見えてくるかもしれません。
2.希少性の高いスキルや実績を身に付ける
転職市場では、求人の数(需要)は非常に高いが、そのスキルを持っている転職希望者(供給)が少ない求人があります。
今の仕事でそういった希少性の高いスキルを身に付けられる環境があるのであれば、身に付けてから転職活動をすると、より高い評価を得られやすくなります。
とはいえ、今の仕事ではそこまで希少性の高い専門性は身に付けられないよ、という方は、「高い実績をつくること」と「スキルの組み合わせ」を意識すると良いかもしれません。
高い実績をつくる
「高い実績をつくる」ことは、その会社の中で1番にならないといけないというわけではありません。「“ここ”にこだわった結果、この商材の契約数で他の人よりも成果を残せた」「行動力が強みだったので、新規のお客様の開拓社数では負けなかった」など一部のプロセスを切り取った実績も、高い実績であると評価されることはあります。
MVPや受賞歴などは所属している会社の規模やその会社の基準によっても異なりますが、社内での評価を表すわかりやすいエピソードにはなります。転職活動では、成果の数字だけでなく、「第三者にもわかりやすい具体的なエピソード」があると評価されやすいです。
スキルの組み合わせ
「スキルの組み合わせ」は、たとえば「営業ができる」かつ「技術のこともわかる」など複数の領域で専門性を持つことです。
ライバルの多い求人の場合、同じスキルを持っていても、「Aさん(あなた)はこのスキルだけだけど、Bさん(ライバル)はこのスキルに加えてこの知識もある」と差をつけられてしまうこともあります。スキルを組み合わせて持っている方が、同じ経験を持ったライバルよりも選ばれやすくなるかもしれません。
また、転職したからこそ2つの領域の知識を持った希少な人材になることができ、重宝されるケースもあります。どの組み合わせでスキルを磨くか、戦略的に考えてみても良いかもしれません。
年齢も市場価値を決める重要な要素と理解する
最後に、転職市場では年齢も市場価値を決める重要な要素になります。
企業が転職者に持つ期待は、転職者の年齢によっても異なります。
・20代半ば:すでに入社している新卒のメンバーと一緒に育てよう
・20代後半:経験も活かしながら、今いる同世代のメンバーと切磋琢磨してくれるかもしれない
・30代前半:経験を活かして即戦力として活躍しながら、新しい風を吹かせてくれるかもしれない
など年齢に応じて期待も変化していきます。
企業の組織はピラミッド型になっていることがほとんどで、40代、50代になれば、社内のことをよく知っている人材を役職に登用することも多いです。あえて中途採用で他の業界からヘッドハンティングすることもありますが、そういった求人の数は少なくなります。
法律上、企業は年齢だけを理由にお見送りにすることはできません※2。しかし、転職活動では他のライバルとの比較になるので、今の年齢であれば合格する可能性がある求人でも、2年後、3年後には若手のライバルが増え、見送りになってしまう可能性もあります。
戦う市場は選べるという話をしましたが、年齢も市場価値を決める要素になるということを意識し、転職活動を始める時期を考えましょう。努力して市場価値を上げようとしている間に、希望の業界に入るチャンスがなくなっていた、ということがないように注意しましょう。
※2参考:厚生労働省
まとめ
ここまで「転職市場における市場価値の考え方、上げ方」と「転職活動における戦略、戦い方」についてお話してきましたが、転職活動の目的は内定をもらうことではありません。
いくら内定がもらいやすいスキルを身に付けて、スキルが評価されやすい企業に応募して内定をもらえたとしても、そこで充実した仕事ができなければ意味がないものです。
転職市場を理解し、うまく味方につけながらも、自分の気持ちも大切に転職活動を進めることをおすすめします!
自分の転職市場での価値を知りたい!何を武器に、どんな求人に応募していくべきか相談したい!という方は、ぜひMUSUBUにご相談ください。